ヤード・ポンド法とは?アメリカ独自の単位をわかりやすく解説 ― その起源から歴史的背景まで

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What is the Imperial System?

 アメリカへ行ったときに、長さや重さの単位で戸惑ったことはありませんか。

 あのアメリカ独自の単位、ホント複雑ですよね。

 日本では、この計量単位を一般的に「ヤード・ポンド法」と呼んでいます。

 このアメリカの単位、正式には…

USCS :
United States Customary System(米国慣用単位)

 もともとはイギリスで使われていた単位体系なので、今でも一般的にはこうも呼ばれます。

Imperial System(帝国単位系)

 一方、国際的に広く使われている「メートル法」は、英語で…

Metric System(メートル法)

 この Metric System は、科学的な視点から合理的に作られた単位体系です。

 それに対して、ヤード・ポンド法(Imperial System)は、人の体の大きさや日常生活での使用量などを基準に、長い歴史の中で自然と形成された慣習的な単位です。
 日本で言えば、江戸時代に使われていた「尺貫法」に近いものと言えるでしょう。
 「一尺、二尺」という単位を今でも使い続けているようなものだと思うと、ちょっとすごいですよね。

 今回は、この Imperial System がどれだけ複雑で独特なものかを、改めて見ていきましょう😜

The Imperial System Explained

長さの単位(Length)

 主に使われる単位は次の4つです(カッコ内は略記号):

  • inch(in)インチ
  • foot(ft)フット
  • yard(yd)ヤード
  • mile(mi)マイル

 ※1 foot以上は feet (フィート)という複数形になります(例:1 foot → 2 feet)。他の単位も1を超えると複数形になります。

 1 inch はメートル法に換算すると…

1 in = 2.54 cm

 そして、それぞれの単位の関係は以下の通りです:

12 in = 1 ft
3 ft = 1 yd
1760 yd = 1 mi

 このように、次の単位への変換数がバラバラで、規則性がありません。これは、人間の体や日常生活を基準に作られた歴史的背景があるためです。
 この不規則さが、Imperial System をややこしくしている最大の要因とも言えるでしょう。

重さの単位(Weight)

 よく使われるのは、以下の3つです:

  • ounce(oz)オンス
  • pound(lb)ポンド
  • ton(ton)トン

 1 ounce はメートル法で…

1 oz = 28.35 g

 単位間の関係はこうなっています:

16 oz = 1 lb
2000 lb = 1 ton(※米国の場合)

 ※なお、イギリスでは1トン = 2240ポンド(long ton)なので注意が必要です。

容量の単位(Capacity)

 主に使われる単位は以下の通りです:

  • fluid ounce(fl oz)液量オンス
  • pint(pt)パイント
  • gallon(gal)ガロン

 1 fl oz はメートル法に換算すると…

1 US fluid ounce = 約 29.5735 mL(ミリリットル)

 ※イギリスの Imperial fluid ounce では、1 Imperial fluid ounce = 約 28.4131 mL

 単位間の関係は:

16 fl oz = 1 pt
8 pt = 1 gal


 実は、ここで紹介した以外にも多くの単位が存在しており、全体像はかなり複雑です💦
 アメリカの人たちは、これらの単位を本当にちゃんと使いこなせているんでしょうか…?🤔

The Origins and Historical Background of the Imperial System

イギリスからの影響(起源)

 アメリカがヤード・ポンド法を使っている最大の理由は、元々イギリスの植民地だったからです。

  • 18世紀、アメリカが独立する以前、イギリスで使われていたImperial System(帝国単位)がそのまま植民地にも持ち込まれました。
  • その後、アメリカは独立(1776年)しましたが、すでにこの単位系が広く浸透していたため、そのまま使い続けることになりました。

アメリカ独自の発展(USCS)

  • イギリスでは1824年に Imperial System を公式に統一・再定義しました。
  • 一方、アメリカはそれ以前の古い単位を独自に使い続け、United States Customary System(USCS/米国慣用単位)として発展していきました。

メートル法への移行の試みはあった

 実はアメリカも、過去に何度かメートル法導入を検討しています。

  • 1866年:アメリカ政府はメートル法の使用を「合法化」しました。(強制ではなく任意)
  • 1975年:メートル法を導入しようとする「メートル法法(Metric Conversion Act)」が成立。(しかし、この法律もまた強制ではなく任意だったため、大きな変化には至らず)

 国際貿易や科学分野では、今でもアメリカでもメートル法が広く使われています。

なぜ変わらないのか?

  • 国民の慣れ:生活の隅々までヤード・ポンド法が浸透しており、変えるには大きな混乱が予想される。
  • 経済コスト:インフラ、教育、製造業など、単位系を変えるには莫大なコストがかかる。
  • 文化的アイデンティティ:一部の人々には「アメリカらしさ」の一部として単位系を守る意識も。
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