華氏(ファーレンハイト)を一から解説!なぜアメリカは今でも華氏を使っているのか? ― 温度単位にまつわる歴史と文化の話

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華氏ってなに?

 華氏(°F) は、主にアメリカやカリブ海諸国などで使われている温度の単位です。
 国際的にはあまり使われていませんが、アメリカでは日常の気温、天気予報、料理の温度など、ほとんどが華氏で表示されます。

華氏と摂氏の違い(ざっくり)

指標摂氏(℃)華氏(℉)
水の凍る温度0℃32℉
水の沸点100℃212℉
人の平熱約36〜37℃約97〜99℉
夏の暑い日30℃86℉
猛暑日37.8℃100℉

華氏と摂氏の換算方法

華氏 → 摂氏

°C = (°F − 32) × 5 ÷ 9

 例:100°F を摂氏にすると?
  → (100 − 32) × 5 ÷ 9 = 37.8℃

摂氏 → 華氏

°F = (°C × 9 ÷ 5) + 32

 例:25℃ を華氏にすると?
  → (25 × 9 ÷ 5) + 32 = 77°F

なぜこんな中途半端な数字に?

 実はこの単位を作ったダニエル・ファーレンハイトというドイツ出身の物理学者が、人間の体温や塩水の凍結温度など、日常に関係する温度を基準にしたかったという説が有力です。

 元々は:

  • 0°F → 塩と氷の混合物が凍る温度
  • 96°F → 健康な人の体温(当時の測定)
  • 32°F → 水の氷点(後で調整)

 など、日常生活で感覚的に使いやすいことを重視してたんですね。

まとめると…
  • アメリカで主に使われる温度の単位
  • 摂氏と比べるとややこしいけど、人間の感覚に合わせた設計
  • 現代では科学や医療では摂氏(℃)のほうが一般的
  • 華氏100℉=摂氏37.8℃ くらいで猛暑日レベル!

なぜアメリカは華氏を使い続けているのか?

① 歴史的に「慣れ親しんだ単位だから」

 アメリカは19世紀からずっとヤード・ポンド法(Imperial System)を使ってきました。
 華氏はその一部として広く使われていたため、人々の生活にしっかり根付いています。

 例:

  • 冷蔵庫の温度 → 40°F
  • 体温計 → 98.6°F
  • レシピ → オーブン温度は350°F

 ここから変えるのは、大規模なコストと混乱を招くことになります。

② 「摂氏に切り替えよう」としたことはあった!

 実は1975年に、アメリカでもメートル法(= 摂氏を含む)への移行法(Metric Conversion Act)が可決されたことがあります。

 でも…

  • 強制ではなく「任意」だった
  • 一般市民が混乱して反発した
  • 教育、製造業、交通などで統一されず進まなかった

 結果、一部の科学・医療分野を除いてほとんど普及せず、華氏が残ったままです。

③ 日常生活で便利に感じてしまう面もある

 例えば、華氏は摂氏よりも細かく変化するので、気温のちょっとした違いを「感覚的に」感じやすいという声も。

摂氏華氏
20℃68°F
21℃69.8°F

 1℃ = 約1.8°F なので、0.5℃の違いも数字としてはっきり出るんですね。

④ 他の単位系とも強く結びついている

 アメリカでは、インチ、マイル、ポンドなどすべてヤード・ポンド法。
 これとセットで華氏も運用されているため、一つだけ変えると他も変えなきゃいけなくなる → やっぱり面倒!

結論:変えたくても変えられない事情がたくさんある
  • 国全体が長年使ってきた慣習
  • 一気に変えるコストと混乱
  • 一部では使いやすさもある
  • 実際に法律はあるけど、あまり進まなかった

 なので、「なぜアメリカだけ華氏?」の答えは、「歴史と習慣の積み重ねで、今さら変えにくいから」です。

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