日本語の挨拶と文化の違い
「ただいま」「おかえり」「いただきます」「ごちそうさま」——
これらは、日本ではごく当たり前の挨拶ですよね。
しかし、英語にはこれにぴったり対応する表現がありません。実は、これらは日本特有の挨拶なのです。
だからといって、英語圏の人々が、こうした場面でまったく何も言わない、というわけではありません。
ただ、日本のように「定型文」としての挨拶が存在しないというだけのことです。
たとえば——
食事に対する感謝の気持ち、料理を作ってくれた人へのねぎらい、家に帰ってきたことを家族に知らせたいという思いやり、無事に帰宅した家族を迎える安心感。
こうした感情は、言葉や文化が異なっていても、どこの国の人であっても自然に持っているものです。
そしてそれを、何らかの形で表現しようとする点も、私たち人間に共通しています。
違うのは、あくまでその表現方法、つまり文化の「かたち」なのです。
日本では、それを「挨拶」として言葉で交わすことが習慣化しています。一方、英語圏では、帰宅した家族をハグで迎えたり、食事の前にお祈りを捧げたりと、別のかたちでその感情を表現するのが一般的です。
つまり、表現方法が違うだけで、根底にある「人の気持ち」そのものに、大きな違いはないのです。
だからこそ、「この挨拶は英語に訳せないから、英語圏の文化にはそれに相当する感情が存在しない」といった早とちりは、大きな誤解です。
また逆に、「日本語には他の言語に訳せない言葉があるから、日本人は特別な精神性を持っている」と考えるのも、同じく偏った見方です。
世間にあふれている文化論の多くは、表面的な違いに注目しすぎていて、矛盾だらけだったりします。
そうした俗説に惑わされずに、人間としての普遍的な「気持ち」や「感情」に目を向けてみると、
——「人間なんて、みんな大して変わらないな」と思えてくるはずです。
「文化の違い」とは、こうした人間の普遍性を理解したうえで、はじめて語れるものです。
異文化理解とは、「違い」を見つけることではなく、「同じ」であることを前提に、そこにある多様性を受け止めていく姿勢なのかもしれません。
日本語の挨拶、無理に訳さなくても大丈夫!
もし「この日本語の挨拶、英語でどう言えばいいんだろう…?」と困っているなら、
まずはその背後にある「気持ち」に目を向けてみてください。
きっと、自然な言葉が見つかるはずですよ!😃
日本語の挨拶をムリヤリ英語に訳してみるっ!
いってきます
Bye! / See you later!
→ あっさりした表現ですが、これで十分。
I’ll be home by 7.
→ 英語では「何時ごろ帰るか」など、具体的な予定を伝えるのが実用的です。
ただいま
I’m home! / I’m back!
→ よく使われる表現ですが、少しフォーマルに響くこともあります。
おかえり
Welcome home! / Welcome back!
→ これもやや仰々しく感じられることがあります。
日常では、言葉よりも笑顔やハグで迎える方が自然かもしれません🤗
いただきます
Dig in!
→ これは「さあ食べよう!」と促す表現。ややカジュアルで、親が子に使うイメージも。
Let’s say grace.
→ 「お祈りを捧げましょう」。キリスト教文化圏では食前の祈りが挨拶の役割を果たすこともあります。
ごちそうさま
Thank you for the nice meal.
→ 感謝の気持ちをそのまま伝えるのが一番!🥰
翻訳に悩んだときは、言葉の裏にある「心」に立ち返ってみると、世界中の人とつながるヒントが見えてきますよ。