お疲れさま in English
「おつかれさま」——
これ、非常に便利な挨拶ですよね。もしかしたら、日本語の中で最も使用頻度の高い挨拶かもしれません。
もともとは、仕事や作業を終えた人に対して、その労をねぎらう言葉でした。
ですが、今では意味が大きく広がり、あらゆる場面で使われています。
めちゃくちゃよく使う挨拶なので、つい英語でも同じような挨拶をしたくなりますが、英語で言おうとすると、適切な表現がなかなか出てきません。
You look tired!
直訳して、こんなこと言ったら、怪訝な顔されてしまうかもしれません。「疲れて見えるよ」と相手の体調を心配しているように聞こえてしまいます。場合によっては失礼に聞こえることもあります。
Good job!
Good work!
Get some rest.
Take a break.
調べてもこのような表現しか出てきません。これらの表現は、どれも日本語の「おつかれさま」とは完全に同じ意味ではありません。
よーするに適切な訳がないんです。
つまり、「おつかれさま」のような、万能で曖昧で、場の空気を和らげる定型文が、英語には存在しないのです。
「おつかれさま」は、気持ちを伝える言葉
「おつかれさま」という挨拶には、
- 労いの気持ち
- 相手を気づかう思いやり
- 一緒に時間を過ごした連帯感
- ビジネス上の礼儀や日常の挨拶
など、さまざまな意味や感情が込められています。
だからこそ英語に訳すときは、「どんな気持ちを相手に伝えたいのか」 をよく考え、その場にふさわしい表現を選ぶことが大切です。
仕事のが終わるときの挨拶なら。。。
- Bye!
- Have a nice evening!
- Have a nice weekend!
本当に疲れてそうなら。。。
- Are you all right?
- You must be tired.
- Get some rest. / Have a break.
成果のある仕事をこなしたら。。。
- Great work!
- You’ve done a great job!
- Thank you for your hard work!
「おつかれさま」を英語でどう言えばいいか迷ったときは、相手にどんな気持ちを伝えたいのか? をまず考えてみましょう。
そうすれば、自然な言葉がきっと出てくるはずですよ!
挨拶ってなんだろう?
挨拶というは非常に便利ですが、ある意味、それは「定型文」です。自分がどのような気持ちを表現したいのか、特に考えなくても、挨拶という定型文に従っていれば、日常の人間関係を円滑に過ごすことができます。
でも、言葉や習慣が違うとその「定型文」は使えなくなってしまいます。その時に、どのような気持ちを表現したいのかを改めて考えなくてはならなくなります。
英語に訳すことのできない日本の挨拶はたくさんあります。ですが、それこそが、外国語を学ぶことの大きな意義のひとつかもしれません。
私たちが何気なく使っている言葉が、どんな感情や思いやりを表していたのか。
「挨拶」という日常的な行為の中に、自分なりの気持ちや価値観が込められていたことに気づくきっかけになります。
ぜひこの機会に、「おつかれさま」だけでなく、他の日本語の挨拶についても、「どんな気持ちを込めて使っているのか?」を見直してみてください。
新しい言語を学ぶことは、自分の母語を深く知ることにもつながっているのです。