英語の小説を読むと立ちはだかる「知らない動詞の壁」
英語学習者であれば、一度は「英語の小説が読みにくい!」と感じたことがあるのではないでしょうか。
特に英語学習者にとって、感情や動作を表す動詞の多さと複雑さは、大きな壁になります。今回は、英語小説に出てくる感情表現に苦戦する日本人学習者の会話を通して、日英語の表現の違いについて解説します。
英語で小説を読んでるんだけど、知らない単語が多すぎて読書が止まる(泣)——
こうした経験はありませんか?
小説は、表現の多様さがその魅力の一つです。特に感情を表現する際は、細かな差を伝えるためにさまざまな表現が使われます。
英語の小説では、特に動詞のバリエーションが豊富で、読み進めるたびに「これはどういう意味?」と辞書を引く羽目になることがあります。
しかし、実際に調べてみれば「笑う」や「泣く」など単純な意味だった、ということもしばしば。
感情表現:英語は「動詞」、日本語は「副詞や擬音語」
日英語では、感情や動作の表現方法に大きな違いがあります。
日本語の特徴:
- 基本の動詞(例:「笑う」)に加えて、「クスクス」「ゲラゲラ」などの擬音語・擬態語でニュアンスを加える。
- たとえ副詞的な語彙(擬音語など)を知らなくても、文章全体の意味はある程度把握できる。
例:
「彼はげらげら笑った」→「げらげら」の意味が分からなくても、「笑った」から感情が読み取れる。
英語の特徴:
- 感情や動作を一語の動詞で言い分ける傾向が強い。
- 一語で意味が決まるので、その単語の意味を知らないと文の解釈が困難。
例:
“He smirked at them.”
→ 「smirk(にやにや笑う)」の意味を知らないと、文の意味が把握できない。
このように、英語では動詞が文の中心的な意味を担っており、知らない動詞があると文全体がブラックボックスになってしまうのです。
「笑う」だけでもこんなにある!——英語の動詞
たとえば、「笑う」に関する英語動詞は多数存在します。意味の違いも微妙なため、学習者には分かりにくいのです。
動詞 | 意味 |
---|---|
laugh | 一般的に笑う |
grin | 歯を見せてニッと笑う |
giggle | くすくす笑う(主に女性や子どもに使われる) |
smirk | にやにや笑う(やや意地悪なニュアンス) |
chuckle | くくっと笑う |
sneer | 嘲笑する |
日本語と英語の表現方法の差
・日本語は、「クスクス」笑う、「ゲラゲラ」笑うといったように、擬音語や擬態語などの副詞を添えることによって細かな差を表現 し分けている。
・英語では、主に動詞一語だけで感情の細かい意味合いの差を表現し分ける。
このように日本語と英語とで表現の方法が非常に対照的です。この発想の違いをまず最初に理解することが大事です。
英語は、単語一つで「泣く」とか「笑う」という基本的な感情表現を表すことが多いので、感情や動作を表すたくさんの動詞があります。
語形もあまり共通性がないので、そもそも知らないと意味を推測するのも難しくなります。
日本語の擬音語や擬態語は海外の人にとって理解するのが難しいとよく言われますが、副詞的な要素なので、たとえ知らなかったとしても、文章全体の意味を把握するのにさほど大きな影響はありません。
例えば「微笑」「嘲笑」「失笑」など漢語を使った表現でも、すべて「笑」という共通漢字を含むため、ある程度意味の想像がつきます。一方で英語は「smile」「sneer」「laugh」など、語形に共通性がない場合が多く、丸暗記が必要になります。
その点では日本語の方が初心者には、理解しやすいのかもしれません。
英語を読むには、まず「動詞語彙」を鍛えよう
英語は、感情や動作を表す動詞の種類がとにかく多いから、最初は大変ですが、慣れれば表現の幅も広がって面白くなるはずです!
- 英語では、感情や動作を表現する動詞が非常に多く、意味の違いも繊細。
- そのため、文章理解のためには語彙力、特に動詞の語彙力が不可欠。
- 日本語との表現方法の違いを理解しつつ、英語独特の感情表現に慣れていくことが大切です。
参考:感情・動作を表す英語動詞リスト
感情 | 動詞 |
---|---|
喜び | laugh, chuckle, giggle, beam |
悲しみ | cry, sob, weep, wail |
怒り | shout, yell, snap, growl |
驚き | gasp, blink, flinch |
軽蔑 | sneer, scoff, smirk |