【映画ぴ評】ソラリス – Solaris (2002)

Solaris (2002)

The film is a meditative psychodrama set almost entirely on a space station orbiting the planet Solaris, adding flashbacks to the previous experiences of its main characters on Earth. Clooney’s character struggles with the questions of Solaris’ motivation, his beliefs and memories, and reconciling what was lost with an opportunity for a second chance.

Solaris – Wikiedia

meditative: 瞑想的な
psychodrama: 心理劇
orbit: 軌道を周回する
flashback: 回想
struggle: もがく
reconcile: 和解する

Review

*Spoiler Alert!! ネタバレ注意!

 アンドレイ・タルコフスキー監督のソ連製映画『惑星ソラリス』(1972)の再映像化。
 SF映画の名作といわれているソ連版も、原作の小説も知らないまま、本作を見たけれども。。。

 う~ん、哲学的。。。なのか。。。これ?

 舞台は、ほぼ宇宙船の中。主な登場人物も4人のみ。極めて限られた小さな世界で、それぞれの人物が過去の記憶と葛藤しながら、会話劇を繰り広げていく。

 惑星ソラリスには、不思議な作用があって、本人が望む記憶と幻影を見せるのだという。ソラリス衛星軌道上を宇宙船で周回している乗組員たちは、ソラリスが見せる幻想に惑わされていく。
 しかし、主人公は、現実ではなく、ソラリスの見せる、自ら望んだ記憶の中を生きることを選ぶ。

 。。。と、まぁ、こんな感じの作品なのだが、深い題材を扱っていそうで、実際、中身があんまり感じられない。。。

 細かい突込みどころはいっぱいあります。それをいちいちあげつらうのは野暮ってものです。

 でもっ!。。。ひとつだけ言わせて!

 何の訓練も受けてない心理学者が、いきなり宇宙船に一人で!乗り込んで、ソラリス軌道上のSpace Stationまで乗り込んで行けるのか??

 ひとりでだよっ⁉

 しかも、最初に救助に向かった先遣隊は音信普通になっている、という超緊急事態のなかでっ!!!

 無表情のまま、あっさりと引き受ける主人公。。。

 おい!隣町に買い物に行くんじゃないんだぞ。

 こんな危険かつ高度な技術を要求される一大任務を3、4分でさらっと流してしまう監督の技量に脱帽です(笑)。

 とまぁ。。。SF fanからすると、文句はいろいろありますが。。。

 SF作品としてみると、粗が目立って、突込みどころ満載だけれども、心理劇としてみれば決して悪い映画ではないです。

 ジョージ・クルーニー演じるクリスが、自責の念から自殺した妻の幻影とともに生きる道を選んだのは、自分の願望に従ったのではなく、自らの「現実」を犠牲にすることで、贖罪の道を選んだのだとも解釈できる。

 この映画は、SFというよりも、贖罪を主題とした文芸的作品なんです。

 そうです、きっとそうなんです!

 SF Fanならソラリスの正体は何なんだっていうManiacな設定の方に関心が向くはず。クリスの心の葛藤には関心が向かない(笑)。そして、この映画は、心の葛藤のほうが主題なんです。(自分にそう言い聞かせてます!)

 この映画は、ジョージ・クルーニーの演技で、もっている作品といっても過言ではないです。彼の演技が、この映画をSFではなく、文芸作品たらしめているんだと思う。
 過去の自らの行いに囚われて自責の念に駆られているクリスの姿を、非常に抑えた表情で、巧みに演じている。ジョージ・クルーニーの演技が非常に光る作品。(逆に言うとそれくらいしか見所がない。)