Ted 2 (2015)
Review
——あれ?前作よりよっぽど面白くなってる! ジョークは健在、でも今回は“物語”がある。
2015年公開の『テッド2』は、前作の破天荒なテディベア・コメディの続編として登場したが、世間的な盛り上がりはやや控えめ。アメリカ本国でも前作ほどのヒットには至らず、興行収入は半分程度にとどまった。しかし、数字だけを見て“失敗作”と判断するのは早計だ。むしろ、前作で感じた「ネタは面白いけど、薄っぺらい」という不満を抱えた観客ほど、今回の出来に驚かされるだろう。
まず特筆すべきは、物語に「芯」が通っていること。前作は、アメリカン・ポップカルチャーと下ネタで笑わせる“なんでもアリ”のドタバタ劇だったが、本作ではテッドが法的に「人間」として認められるかどうか、という明確なテーマが据えられている。これは単なるギャグのネタではなく、市民権・人権といった現代的な社会問題を扱った、意外にもまじめな問いかけだ。
ジャンルとしては“ロードムービー”(一応)。テッドとジョン、そして新たな仲間である弁護士見習いのサマンサ(アマンダ・セイフライド)が、テッドの法的地位を認めさせるため、アメリカを横断して奔走する。その旅の中で友情が深まり、それぞれが過去と向き合い、成長していく——物語構造としてはかなりオーソドックスだが、これが実にしっかり機能している。
もちろん、セス・マクファーレンらしい下品でマニアックなジョークも健在だ。『ジュラシック・パーク』や『ゴクウ』ネタ、サンディ・フックをめぐるきわどい発言など、攻めすぎな瞬間も多々あるが、全体としては笑いと物語のバランスが取れており、「ただの内輪ウケ映画」だった前作よりも、むしろ万人受けする構成になっていると言える。
とはいえ、アメリカ文化に馴染みのない観客には、やはり「元ネタが分からないとちょっとキツイ」瞬間も健在。たとえば、マリファナ文化やマット・ウォルシュといった知名度の低いキャストネタ、果てはニューヨーク・コミコンの扱いまで、ローカル色が強いギャグは多い。しかし、今回はそうした小ネタに振り回されるよりも、テッドの「存在とは何か?」というテーマに自然と引き込まれていく仕掛けが用意されている。
結局のところ、『テッド2』は“ネタ映画”から“物語映画”へと一歩踏み出した作品だ。笑いの質はそのままに、キャラクターの成長と社会的テーマを取り込み、前作よりもむしろ完成度は高い。地味な印象を受けた人もいるかもしれないが、じっくり観れば、むしろこちらの方が「ちゃんとした映画」として楽しめる一作だ。
追記
最後にあと一つだけ。本作には“気になる失踪事件”がある。そう、ロリーはどこへ行った!?
前作『テッド』で、テッドがあれほどまでに気を使い、奔走し、最終的にはジョンとヨリを戻すことに成功したあのロリー(ミラ・クニス)は、本作には一切登場しない。出番ゼロである。あれだけドラマの軸になっていたキャラクターが、まるで「いなかったこと」にされているのだ。説明らしい説明もなく、冒頭で「ジョンは離婚してる」的な一言で片付けられ、完全にフェードアウト。
そして知っている人はクスッとくるだろうが、演じていたミラ・クニスといえば、マクファーレン作品の代表格『ファミリー・ガイ』で不遇すぎるキャラクター、メグ・グリフィンの声を担当している。そう、いつも家庭内でハブられ、理不尽な目に遭い続ける“あのメグ”である。
メグの悲惨さを知っている視聴者なら、「やっぱりメグ枠か…」と苦笑まじりに頷くしかない不在っぷり。
この作品でもやっぱりぞんざいに扱われていて、もう笑うしかない。
海外での評価は。。。?
Critical response
On Rotten Tomatoes the film has an approval rating of 46% based on 189 reviews with an average rating of 5.3/10. The site’s critical consensus reads, “Ted 2 reunites Mark Wahlberg and Seth MacFarlane for another round of sophomoric, scatological humor — and just as before, your enjoyment will depend on your tolerance for all of the above.” On Metacritic, the film has a score of 48 out of 100 based on 38 critics, indicating “mixed or average reviews”. Audiences polled by CinemaScore gave the film an average grade of “B+” on an A+ to F scale.
James Berardinelli of ReelViews gave the film two out of four stars, saying “It would be disingenuous for me to claim that Ted 2 isn’t funny. Although I was often bored by the plodding direction of the story, I laughed from time-to-time.” Chris Nashawaty of Entertainment Weekly gave the film a C+, saying “You realize what it must be like to be trapped in detention with a bunch of 15-year-old boys who think there’s nothing more hilarious than repeating the same jokes about porn, pot, and pulling your pud over and over again. It’s funny, until it’s not.” Bill Goodykoontz of The Arizona Republic gave the film two out of five stars, saying “The film, like most of MacFarlane’s work, is a mix of occasional laugh-out-loud moments – there are some here – and cringe-worthy misfires that play a lot more tone-deaf than he seems to intend.”
- approval: 好意的な
- consensus: 総意
- sophomoric: 生意気な
- tolerance: 忍耐力
- poll: 投票する
- disingenuous: 意地の悪い
- plodding: だらけた
- detention: 放課後の居残り
- occasional: 時々の