【映画ぴ評】テッド – 元ネタが分からないとキビシイ!? ジョーク連発の小ネタ映画

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Ted (2012)

 Ted is a 2012 American buddy comedy film directed by Seth MacFarlane in his feature film directorial debut. The screenplay by MacFarlane, Alec Sulkin, and Wellesley Wild is from MacFarlane’s story. The film stars MacFarlane, Mark Wahlberg, Mila Kunis, and with Joel McHale and Giovanni Ribisi in supporting roles, with MacFarlane providing the voice of the title character. The film tells the story of John Bennett, a Boston native whose childhood wish brings his teddy bear friend Ted to life. However, Ted prevents John and his love interest Lori Collins from moving on with their lives.

Ted – Wikipedia

  • buddy: 相棒、兄弟
  • directorial: 監督の
  • screenplay: 映画脚本
  • childhood: 幼少期

Review

——元ネタが分からないとキビシイ!? ジョーク連発の小ネタ映画

 2012年公開の『テッド』は、喋るテディベアと中年男性の友情という、一見すると子ども向けのファンタジーのような設定ながら、中身はかなり尖った大人向けコメディ。『ファミリー・ガイ』で知られるセス・マクファーレンが脚本・監督・声の三役を務めた本作は、アメリカ文化にどっぷり浸かった人ほど笑える、いわば“アメリカン・ポップカルチャー検定”のような一本だ。

 物語は、奇跡によって命を得たぬいぐるみのテッドと、彼の持ち主であるジョン(マーク・ウォールバーグ)が大人になってもダラダラと過ごしているというもの。だが、その背後には無数のカルチャー・リファレンスが散りばめられており、映画・音楽・テレビ・セレブなど、80〜90年代のアメリカ文化への理解なしには、ネタの半分も拾えないかもしれない。

 たとえば、テッドとジョンが熱狂する映画『フラッシュ・ゴードン』。日本ではほぼ無名に近いこの作品を知っていなければ、二人が再会を喜ぶシーンの興奮も、どこか空回りに感じるかもしれない。また、数々のセレブネタ——ノラ・ジョーンズにサミー・デイヴィスJr.、トム・スケリットにジェームズ・フランコ——も、元ネタを知らなければギャグが意味不明に終わってしまう。

 もちろん、テッドの無邪気さと下品さのギャップ、ぬいぐるみとは思えぬ酒とドラッグに溺れる生活ぶりだけでも十分に笑える要素はある。だが、この映画が本当に面白くなるのは、“わかる人にはわかる”笑いを拾えたときだ。つまり、“ネタが分かる”かどうかが、この映画の満足度を大きく左右する。

 とはいえ、決してそれだけの映画ではない。子どもの頃の夢と現実のギャップ、友情と恋愛のはざまで揺れる大人の苦悩というテーマは、意外にも普遍的だ。見た目はふざけているが、物語の芯にはしっかりとした成長譚がある。

 結論として、『テッド』はアメリカ文化への愛が凝縮された一作。だが、その笑いは内輪ノリにも近く、元ネタがわからない観客にとっては、やや居心地の悪い空間になる可能性もある。“ツボ”にハマれば爆笑必至。だが、ツボを知らなければ、ただの品のない熊の珍騒動に見えてしまうかもしれない。

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